先日、鹿児島県が主催する「鹿児島Digi-1グランプリ2025」の審査員として参加させていただきました。このコンテストは、デジタル技術を活用して地域課題の解決や県民の利便性向上につながる取り組みを表彰するもので、今年で3回目の開催となります。
IT企業に勤務する立場として、そして二児の母として、様々な視点から審査に携わることができた貴重な経験を、この場でご報告させていただきます。

鹿児島Digi-1グランプリとは
鹿児島Digi-1グランプリは、鹿児島県が主催するDXコンテストです。実装(民間企業等)部門、実装(自治体)部門、アイデア部門の3部門があり、それぞれグランプリ(賞金10万円)、準グランプリ(賞金3万円)、特別賞(賞金1万円)が設けられています。
特に印象的だったのは、「鹿児島の離島や中山間地域といった条件不利性を軽減する取組」という視点が明確に打ち出されていることです。都市部だけでなく、デジタル技術で地域の課題を解決しようとする県の本気度を感じました。
審査で感じたこと
今回、私は実装(民間企業等)部門と実装(自治体)部門で、それぞれ1件ずつ講評を担当させていただきました。
重富中学校PTA「ノーコードツールの導入によるPTA業務の効率化」

kintoneというノーコードツールを活用し、PTA業務を大幅に効率化した取り組みです。実は私も仕事でkintoneを使っているのですが、この取り組みの素晴らしい点は、ツールの選定だけでなく「誰でも使える、引き継げる仕組み」を作られたことです。
PTAという数年おきに役員が変わる組織において、マニュアル不要で操作できる仕組みを作ることで、年間40時間もの業務時間を削減。さらに、5年後には1,500名のOB・OGデータベースを形成し、同窓会や地域行事、防災連絡網としても活用できるという長期ビジョンには、本当に感銘を受けました。
小学生の子どもを持つ親として、「役員のなり手不足」は本当に切実な問題です。この取り組みが他の学校にも広がることを心から期待しています。
鹿児島市「メタバースを活用した不登校支援の取組」

既存の支援体制に接続できていない469名の不登校児童生徒に対し、メタバースという新しい手段で学びと相談の機会を提供した取り組みです。
この取り組みで特に評価したのは、メタバースを「ゴール」ではなく「リアルな支援への入口」として位置付けている点です。実際に、メタバースを利用していた児童が、教育支援センターへの登校につながった事例も報告されていました。
不登校のお子さんを持つ保護者、特にお母さんは、社会から孤立し自分を責めてしまうことが多いと聞きます。「親の都合で通級できない我が家にはありがたい」という保護者の声は、ワーキングマザーや介護をされているご家庭への配慮も示しています。技術の新しさだけでなく、本当に困っている人に届く設計になっていることに、深く感銘を受けました。
DXの本質を考える
今回、審査員を務めて改めて感じたのは、DXの本質は「技術」ではなく「課題解決」だということです。
どの取り組みも、最新の技術を使うことが目的ではなく、目の前にある具体的な課題を解決するために、最適なデジタルツールを選び、使いこなしていました。そして何より、「使う人」の視点に立った設計がされていたことが印象的でした。
今回、審査員という貴重な機会をいただき、鹿児島県内の様々なDXの取り組みに触れることができました。地域に根ざした課題に、デジタル技術で真摯に向き合う方々の姿に、大きな刺激を受けた一日となりました。
私たちIT企業に勤める者として、こうした地域のDX推進に、今後も何らかの形で貢献していきたいと改めて感じました。
最後に、素晴らしい取り組みを発表してくださった全ての参加者の皆様、そして運営に携わられた鹿児島県と事務局の皆様に、心より感謝申し上げます。

参考

